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「登山スキー術の手引」著者のこと

「登山スキー術の手引」の著者は北大山岳部の澤本三郎氏です。
この本は昭和三年十二月初版、第二版は昭和八年十二月に改訂されている。
第一版緒言
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<旧漢字を翻訳>
初めてスキーを履いた人々を一生懸命にコーチした後で、彼らがスキー操作法に対して、ひどくデタラメな考えを持っていることにしばしば驚かされる。
それは冬の雪の上は寒い、初めてやるスキーは苦しい、コーチの説明等、おちおち聞いている暇なんか無いかも知れぬ。
元来スキーを上手にやると言うことには、理屈は不必要である。まだ行って見たことはないが、ノールウェーの百姓が如何に巧く滑るだろう。真の上手には決して理屈でなれるものではない。天才と猛練習とである。
併し、我が部員は一般に中年?でスキーを始める。早くしないと、ろくに山へ登れるようにならぬ内に、お爺さんになってしまう。幸いなるかな、彼等には豊富な理解力を有する知識階級である。ここで理屈が役立つ。速成の第一要素は正当な理論である。第二はコーチの妙技の与えるインスピレーションである。何れも本人が頑張らなければ、両方とも猫に小判だが。
我が北大山岳部で、登山スキー術に関する教科書と言ったようなものを作る計画は、かなり前からあったが、昨年作ったガリ版刷りの緒言で泣言を並べたように、今年も又、単に初心者のメモ位な役には立つだろうと言った程度のものしかできなかった怠慢無能を、著者は深く恥じる。併し在来のあらゆるスキー書特に邦書のもの)に物足りない著者は、一時の間に合わせではあるが、自ら信ずる所を書いてみることにした。・・・・・・・・・・・・
昭和三年十二月
北大山岳部 澤本三郎

第二版緒言
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<旧漢字を翻訳>
第一版がすっかりなくなってしまったので(三百部)、第二版を出さなければならないことになった。幸か不幸か、第一版の著者、僕が丁度札幌にいるので、引き受けざるを得なかったと言う訳なのである。・・・・・・
本版を著するに当たって昭和三年十二月に作った「登山スキー術の手引」第一版を全部抹消する。

昭和八年十二月
北大山岳部 澤本三郎

第一版では著者(澤本三郎)が、講習を受ける生徒への愚痴や叱咤激励をユーモアを交え記述しているが、著者の正しいスキー術普及への並々ならぬ熱意が感じられる部分である。

著者が最も高く評価されると思えるのは、現在のように整備されたゲレンデもリフトも無く、反復練習するには山を登る劣悪な環境の中で、回旋(ターン)の切り替え時の遠心力を利用(ボディスイングと島村効果)した雪面への荷重(骨辺に豊+重)や体重を抜く(抜重)等の要素が重要な意味をもっていることを説いている部分です。
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<旧漢字の翻訳>
本書に使用された「体重」という言葉について
【骨豊+重】という言葉は、本来の意味の如く体の重心に鉛直に働く力を指してはいない。雪によって生ずるスキーの足に対する抵抗力と釣り合い、或いは偶力をなしている力を指すのである。
飛行機で宙返りをしても逆さまになった感じがしないのと同様に・・・・

79年前の荷重や遠心力に対する比喩(当時の飛行機に乗って宙返りした体感)がとても新鮮な表現であり、スキーの荷重に対する重要性を懇切丁寧に説いているところである。
講義を受ける生徒は目が点になっていたこであろうことが想像できる。

この回旋理論は現在のターンの基本と変わらない理論であり、既に79年前には確立されていた理論であることに驚かされる。
by gwxwy002 | 2012-02-01 20:17 | テレマーク

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